第四十六章

世話をしてくれたボランティアのリクエスト
 
 私たちディキシーサミットの演奏がサクラメントジャズジュビリー出演最後のバンド、日本式に言えば「とり」と言うことになっていた。大役である。
 私たちの演奏が終わると同時にクロージングセレモニーが始まることになっているのだ。
 曲目に関してボランティアから提案があった。
 「ほとんどの客が既にディキシーサミットを聴いている」ので
 「最後のナンバーは日本の曲を」、もう一つ、
 「カリフォルニア・ヒアー・アイカムを演奏曲目に入れてはどうだ?」。
 本当のことを言うと、このようなときのために
 「上を向いて歩こう」を日本からアレンジをして用意はしていた。もちろん
 「カリフォルニア・ヒアー・アイカム」もぬかりはない。
そして、さらにボランティアが言うには「私のリクエストだが、シング・シング・シングを是非」とのこと。さんざんお世話になった方のリクエストだ。
 「Sure!! Of course !」
 最終ステージの持ち時間は45分。どこにどう組み込むか。みんなと相談の結果、
1. Lime house blues 全員
2. Bourbon Street parade      中川ボーカル・スキャット
3. Big noise from wetnettka     小林ベースソロ
4. I've found new baby       英二郎トロンボーンソロ
5. Maple leaf rag          後藤千香ピアノソロ
6. Sing Sing Sing          楠堂浩己とラムソロ
7. California here I come       向里直樹バンジョーソロ
8. 上を向いて歩こう(スキヤキ)         全員
 
 以上のようなオーダーで四十五分、かなり切りつめて行かなくては、時間をオーバーしてしまう。最後の二曲「California here I come」と「上を向いて歩こう」(スキヤキ)
 本コンサート初公開である。
 私たち最後のコンサート会場はオールドサクラメントの目抜き通りにあるコンベンションセンターエキジビットホール。
私たちがバックステージに到着したとき、スウェーデンのバンドがジョージルイスの、
「バーガンディーストリートブルース」を悲しげに演奏していたのが印象的だった。
 私たちと同じ条件のスウェーデンから来ているインターナショナルバンドだ。彼らもこのステージが最後の演奏だろう。
 それにしても、さすがにクロージングセレモニーを行う会場だ。体育館のような広さであるのに、そこにはすでに満杯の客で埋まっていた。
 「大勢の客だな!ディキシーサミット最後の演奏に不足なし!!」闘志がわいてきた。
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